国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 クリスは激しく音を立てて立ち上がる。と、同時にその会議室の扉が乱暴に開かれた。
「ジェシカ様が、いなくなられた」
 その言葉と同時に姿を現したのは、騎士団長でありあのフローラの上官であるアダム。クリスはその言葉に眉をピクリと歪ませる。
「恐らく、フローラも」
 アダムに向かってクリスはその言葉を吐いた。
「え、フローラって副団長の婚約者ですか?」
「もしかしての二次元?」
「いいから、お前たちは黙ってろ」
 ノルトが部下たちに向かって一括する。
「あの王女が姿を消し、フローラ嬢も捕らわれたとなると」
 うーむとノルトは唸った。心当たりは例の闇魔法の件としか言いようがない。
「アダム。俺たちも協力する。手分けしてジェシカ様を探そう」
 ノルトの言葉に、すまないと口にするアダムだが、クリスはふむと頷いている。
「では、私はフローラを探します。彼女の魔力を探れば、恐らくそこに王女もいることでしょう」
「クリス。お前、そんなこと、できるのか?」
 今のクリスの発言には、ノルトでさえ驚きを隠せない。
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