国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「素晴らしい。結婚しても騎士としての仕事を続けたいと思えるということは。私も精いっぱい、応援させていただきます」
「えっと……。クリス様は、私が結婚しても、騎士を辞める必要は無いと、おっしゃっているわけですか?」
「もちろん、その通りです」
 クリスはフローラを見て大きく頷いた。
「むしろ、私との子を出産した後も、仕事は続けてもらって構いません。子は、然るべき人にみてもらえばいいのです。もちろん、私もサポートしますが」
「子ども……」
 フローラは呟くと、顔中を真っ赤に染めた。さらに、耳とうなじまで。
「なんと、フローラはとても可愛らしい女性ですね」
 クリスは満足そうに笑った。そして、国王と宰相も満足そうに笑っている。この場で笑えていないのはフローラだけである。
「では、二人は結婚を前提に付き合いを始める、ということでいいかな?」
 国王が問う。
「はい」
 クリスは楽しそうに答えた。
「はい……」
 フローラは消え入るように答えた。
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