国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 それに、彼女からは今までクリスのお尻を追いかけてくるようなご令嬢から感じた嫌な気持ちというものが一切感じられなかった。これが相性95%と呼ばれるものからきているのか、出会うべきものとして出会った運命の相手だからなのかはわからない。
 出会い方はどうであれ、クリスはフローラと出会えた喜びをあらためて噛み締めていた。
 一生孤独かもしれない、と漠然と思っていた不安という暗闇を照らしてくれた一筋の灯、それがフローラという女性なのだ。
 隣を歩くフローラを見下ろすと、彼女もそれに気付いたのか、クリスに視線を向けてきた。クリスが笑うと、フローラも微笑み返してくれる。そして、どことなく赤く色づいているその頬。
 彼女と繋いでいる手につい力を込めてしまうのは、けしてこの手は離さないという、意思の表れなのだろう。
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