月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
魔物
ティナが張った結界の境界部分から青白い火花が迸り、ティナとトールの間に緊張が走る。
「な、何だ何だ?! 何が燃えてんだよ!!」
突然の出来事にモルガンが混乱している。
結界に触れると燃えるとは聞いていたが、まさかあんなに高温の炎だとは思わなかったのだ。人間なら一瞬で灰になってしまうだろう。
「──っ?! あれは?!」
トールが火花が散った方向を見て驚いている。髪の毛が視界を塞いでいそうなのに、トールはやけに目敏いのだ。
「この気配は一体……魔物じゃない……? え、でも……っ」
結界に触れたものの情報が共有出来るティナは、伝わってきた情報に困惑してしまう。
そんな困惑する二人を置いて、トールがいち早くツヴァイハンダーを背にして境界へと向かう。気付いたティナも慌ててトールを追いかけるが、身体能力の差は歴然であっという間に距離が空いてしまった。
ティナが結界の境界まで来ると、一足先に到着したトールが何かを持ち上げているのが見えた。
「ト、トール速すぎ……! 何を持って……っ! えっ? ええーーっ!?」
ティナが驚きの声を上げる。何故なら、トールが抱いているのは黒い子犬──のように見える魔物だったからだ。
「うわーっ! 可愛い……っ、じゃなくて、この子、魔物だよね……?」
「……だと思うけど。見たことがない魔物だね」
物知りのトールも見たことがないという魔物の子供は、黒いフサフサとした毛並みで、頭から二本の角を生やしていた。
「な、何だ何だ?! 何が燃えてんだよ!!」
突然の出来事にモルガンが混乱している。
結界に触れると燃えるとは聞いていたが、まさかあんなに高温の炎だとは思わなかったのだ。人間なら一瞬で灰になってしまうだろう。
「──っ?! あれは?!」
トールが火花が散った方向を見て驚いている。髪の毛が視界を塞いでいそうなのに、トールはやけに目敏いのだ。
「この気配は一体……魔物じゃない……? え、でも……っ」
結界に触れたものの情報が共有出来るティナは、伝わってきた情報に困惑してしまう。
そんな困惑する二人を置いて、トールがいち早くツヴァイハンダーを背にして境界へと向かう。気付いたティナも慌ててトールを追いかけるが、身体能力の差は歴然であっという間に距離が空いてしまった。
ティナが結界の境界まで来ると、一足先に到着したトールが何かを持ち上げているのが見えた。
「ト、トール速すぎ……! 何を持って……っ! えっ? ええーーっ!?」
ティナが驚きの声を上げる。何故なら、トールが抱いているのは黒い子犬──のように見える魔物だったからだ。
「うわーっ! 可愛い……っ、じゃなくて、この子、魔物だよね……?」
「……だと思うけど。見たことがない魔物だね」
物知りのトールも見たことがないという魔物の子供は、黒いフサフサとした毛並みで、頭から二本の角を生やしていた。