月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
聖女追放の後
ブレンドレル魔法学院で起こったフレードリクの婚約破棄騒ぎと、大神殿で起こったアンネマリーの出来事は、速やかにセーデルルンド王国の王宮へと伝わり、国王の耳に届くこととなった。
「……ったく!! 何を考えとるんだあのバカ息子はっ!!」
事の顛末を聞いた国王──グスタフは、フレードリクの愚行に怒りを顕にしていた。
「既にこの一件は、ブレンドレル魔法学院の生徒全員が知ることとなりました。最早事態の収拾は不可能かと」
国王に報告に来た参事官から、疲労の色が滲み出ていた。生徒からの聞き取りや神殿とのやり取りで相当疲弊してしまったようだ。
「うぅぬ……!! フレードリクを連れて来いっ!! 奴に土下座でも何でもさせてクリスティナ嬢に許しを請うのだ!!」
グスタフは国王として、大神殿と揉めるわけにはいかないと考えている。
大神殿の大神官であるオスカリウスは、ラーシャルード教の中でも強い権力を持ち、次期教皇だと噂されるほどの人物であった。
そんな人物と敵対するようなことは絶対にあってはならないのだ。
穏便に済ますことが出来ないなら、フレードリクの廃嫡まで視野に入れなければ、とグスタフは考えている。
「……それが、どうやらクリスティナ様が行方を晦ましたとのことで、未だ発見に至っていないと聞いています」
「何だとっ?!」
「……ったく!! 何を考えとるんだあのバカ息子はっ!!」
事の顛末を聞いた国王──グスタフは、フレードリクの愚行に怒りを顕にしていた。
「既にこの一件は、ブレンドレル魔法学院の生徒全員が知ることとなりました。最早事態の収拾は不可能かと」
国王に報告に来た参事官から、疲労の色が滲み出ていた。生徒からの聞き取りや神殿とのやり取りで相当疲弊してしまったようだ。
「うぅぬ……!! フレードリクを連れて来いっ!! 奴に土下座でも何でもさせてクリスティナ嬢に許しを請うのだ!!」
グスタフは国王として、大神殿と揉めるわけにはいかないと考えている。
大神殿の大神官であるオスカリウスは、ラーシャルード教の中でも強い権力を持ち、次期教皇だと噂されるほどの人物であった。
そんな人物と敵対するようなことは絶対にあってはならないのだ。
穏便に済ますことが出来ないなら、フレードリクの廃嫡まで視野に入れなければ、とグスタフは考えている。
「……それが、どうやらクリスティナ様が行方を晦ましたとのことで、未だ発見に至っていないと聞いています」
「何だとっ?!」