月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「あのゲ……フレードリク殿下もご存知のはずなのですが……。お聞きしていませんか? その<聖女の腕輪>は身に付けた者の魔力を常に吸収していると」
「えっ……?! わ、私、そんなの聞いていません!! ただ綺麗な腕輪だって……証だって……っ!」
そうして、アンネマリーはある事実に辿り着き、驚愕する。
クリスティナはこの腕輪を付けた状態で普通に生活し、更には瘴気を浄化するために国中を巡っていたのか、と。
腕輪を付けただけで疲労困憊になった自分とは比べ物にならないほどの魔力量を、クリスティナは持っていた。
自分より少し多いぐらいの魔力量しか無いと嘲っていたのは、とんだ思い違いだったのだ。
「そうでしょうね。そうでなければ誰が好き好んで、その腕輪を身に付けようと思うのか……理解に苦しむところでした」
アレクシスはそう言うと、アンネマリーに向かって綺麗な笑顔を向ける。先程までのアンネマリーなら、その笑顔に見惚れていただろう。
──しかし、アンネマリーはようやく気が付いた。
口は笑みの形を象っていても、アレクシスのその瞳は全く笑っていない。むしろ汚物を見るような、蔑んだ視線を自分に向けているということを。
「運が良かったですね。クリスティナ様がその腕輪に魔力を貯めて下さっていて。そうでなければ貴女の身体もその顔も、あっという間に老婆になっていたでしょうから」
「えっ……?! わ、私、そんなの聞いていません!! ただ綺麗な腕輪だって……証だって……っ!」
そうして、アンネマリーはある事実に辿り着き、驚愕する。
クリスティナはこの腕輪を付けた状態で普通に生活し、更には瘴気を浄化するために国中を巡っていたのか、と。
腕輪を付けただけで疲労困憊になった自分とは比べ物にならないほどの魔力量を、クリスティナは持っていた。
自分より少し多いぐらいの魔力量しか無いと嘲っていたのは、とんだ思い違いだったのだ。
「そうでしょうね。そうでなければ誰が好き好んで、その腕輪を身に付けようと思うのか……理解に苦しむところでした」
アレクシスはそう言うと、アンネマリーに向かって綺麗な笑顔を向ける。先程までのアンネマリーなら、その笑顔に見惚れていただろう。
──しかし、アンネマリーはようやく気が付いた。
口は笑みの形を象っていても、アレクシスのその瞳は全く笑っていない。むしろ汚物を見るような、蔑んだ視線を自分に向けているということを。
「運が良かったですね。クリスティナ様がその腕輪に魔力を貯めて下さっていて。そうでなければ貴女の身体もその顔も、あっという間に老婆になっていたでしょうから」