月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
昔トールが使った魔法は、記憶を消すためのものだと言っていた。消してしまった記憶を復元させる魔法なんて聞いたことがない。
だがしかし──ティナは神聖力を持つ聖女だ。しかも<稀代の聖女>と称されるほど強いティナの力は、欠損した部位も再生させることが出来る。
(それなら、失った記憶を癒しの力で治せるかも──!)
記憶を取り戻す可能性を見出したティナは、その可能性に掛けてみようと思う。
「わふ?」
ベッドに突っ伏してうんうん唸っていたのに突然起き上がったティナを見て、アウルムが不思議そうにしている。
「あ、アウルム。ごめんね、今からちょっと試したいことがあるの。大人しく待っててくれる?」
「わふ」
アウルムはティナに返事をすると、ベッドの端っこに丸まった。どうやら一眠りして待っていてくれるらしい。
「ふふ、アウルム有難う」
ティナはアウルムの気遣いに感謝する。これで作業中に気が逸れることもないだろう。
これからティナが行おうとしている魔法は、繊細で緻密な作業を必要とする、最高難易度の大手術と同レベルのものだ。
だがしかし──ティナは神聖力を持つ聖女だ。しかも<稀代の聖女>と称されるほど強いティナの力は、欠損した部位も再生させることが出来る。
(それなら、失った記憶を癒しの力で治せるかも──!)
記憶を取り戻す可能性を見出したティナは、その可能性に掛けてみようと思う。
「わふ?」
ベッドに突っ伏してうんうん唸っていたのに突然起き上がったティナを見て、アウルムが不思議そうにしている。
「あ、アウルム。ごめんね、今からちょっと試したいことがあるの。大人しく待っててくれる?」
「わふ」
アウルムはティナに返事をすると、ベッドの端っこに丸まった。どうやら一眠りして待っていてくれるらしい。
「ふふ、アウルム有難う」
ティナはアウルムの気遣いに感謝する。これで作業中に気が逸れることもないだろう。
これからティナが行おうとしている魔法は、繊細で緻密な作業を必要とする、最高難易度の大手術と同レベルのものだ。