月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「うん、そうなんだけど……。アウルムの毛色が変わってたら、怪しまれるかも……」

 灰色の時でも目を引いていたのに、真っ白になったアウルムはかなり目立つだろう。珍しい魔獣だからと連れ去られてしまうかも、と思うと不安になる。

『えー。じゃあ、色変えるー』

「は? え?」

 ティナがどう言う意味か聞く間もなく、アウルムの身体の色が変化する。

『これでいいー?』

「わぁ! うんうん、バッチリ! そんなこともできるなんて、アウルムはすごいなぁ!!」

『えへへー』

 どういう原理かわからないが、アウルムの毛色は変化する前の色に戻っていた。

「これで安心だね。じゃあ、食堂に行こうか」

『わーいわーい!』

 アウルムがぴょんぴょんと跳ねて喜んでいる。よほどお腹が空いていたのだろう。

 窓を見れば日の光が部屋を明るく照らしていて、すっかり日が昇っていた。
 いつもは早起きなのに、今日は寝坊をしたようだ。

 アウルムには聞きたいことがたくさんあるが、とりあえず今は朝食を優先することにする。

 ティナが食堂に降りて行くと、ティナに気付いた給仕の女性が挨拶をしてくれた。

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