月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
手掛かり
お金を支払ったティナは、アウルムにブレスレット兼首輪を付けてあげた。予想通り、とてもアウルムに似合っている。
「ふふ、アウルム可愛い! よく似合ってる!」
『ほんとー?』
「ほんとほんと! 苦しくない? 大丈夫?」
『大丈夫だよー!』
「なら良かった。失くさないように気をつけようね」
『わかったー』
ティナがアウルムに確認を取っていると、店主が驚いた様子でティナに声を掛けて来た。
「ちょ、ちょっとお嬢ちゃん!! あんた、獣魔と会話出来るのかい?」
「え、はい。そうですけど……」
ティナがきょとん、とした様子で答えると、店主は信じられないという表情の後、呆れた声を出した。
「……ったく、只者じゃないとは思ってたけど……。 まさかねぇ……」
「えーっと……?」
やれやれと言った店主の様子に、ティナは何かやらかしてしまったのかと心配になる。
「あんた、獣魔と会話出来るなんて人に言っちゃいけないよ! まだこの国なら大丈夫だろうけど、ラーシャルード教の息がかかってる所じゃ魔女扱いされちまうからね!」
「──えっ……」