月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
 しかし、精霊に会った記憶が全く無いティナは、思わず困惑してしまう。

「とりあえず部屋に戻ろっか。部屋に精霊さんがいるか教えてくれる?」

『わかったよー』

 ティナが部屋に戻り、中を見渡してみるも、特に変わった様子はない。
 アウルムがくんくんと匂いを嗅いで調べてくれているので、ティナは黙って見守ることにした。

『精霊はここにいないよー』

「えぇ〜。そっか〜〜。残念……」

 ティナはアウルムの言葉にがっかりした。
 きっとティナたちが眠っている時か食事をしている時に、部屋から出てしまったようだ。

『でも元気だよー。弱かったのにねー』

「んん? どういうこと?」

『えっとねー。小さかったのが大きくなったみたいなのー。匂いが大きいからー』

「え? え?」

 アウルムは精霊の様子を匂いで判断しているらしい。そして小さかった匂いが大きくなっているから、弱っていた精霊が元気になったのだと思ったようだ。

「……そっか。じゃあ、精霊さんは元気になったから、どこかへお出かけしに行ったのかな?」

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