月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
ティナと同じことを言うトールに、アデラは我慢できず、ついに笑い出してしまう。
「うひゃひゃひゃひゃっ!! 本当にあんたたちは……っ!! くくく……っ!!」
しばらく笑っていたアデラは、ようやく落ち着くとトールに地図の使い方を説明した。
「なるほど。やはりアデラさんの魔道具は素晴らしいですね」
説明を聞き終えたトールは地図を持つと荷物の中へと仕舞い込んだ。
「……あの娘──ティナに会ったらよろしく伝えとくれ」
「はい、必ず。また一緒にここへ来ますから、待っていてくださいね」
「ふんっ! 早くしないと店をたたんじまうからね!」
アデラはぷいっと顔を逸らすものの、それが照れ隠しなのだとトールはわかっている。
「ははは。じゃあ急がないと。では、また」
トールはアデラに挨拶すると、颯爽と店から出て行った。
「……本当に、あんたらはお似合いだよ」
去って行くトールの後ろ姿を眺めながら、アデラは少し寂しそうに呟いた。
結局、トールはティナが何者か教えなかった。きっとティナには明かすことができない秘密があり、そんなティナをトールは守ろうとしているのだろう。
「うひゃひゃひゃひゃっ!! 本当にあんたたちは……っ!! くくく……っ!!」
しばらく笑っていたアデラは、ようやく落ち着くとトールに地図の使い方を説明した。
「なるほど。やはりアデラさんの魔道具は素晴らしいですね」
説明を聞き終えたトールは地図を持つと荷物の中へと仕舞い込んだ。
「……あの娘──ティナに会ったらよろしく伝えとくれ」
「はい、必ず。また一緒にここへ来ますから、待っていてくださいね」
「ふんっ! 早くしないと店をたたんじまうからね!」
アデラはぷいっと顔を逸らすものの、それが照れ隠しなのだとトールはわかっている。
「ははは。じゃあ急がないと。では、また」
トールはアデラに挨拶すると、颯爽と店から出て行った。
「……本当に、あんたらはお似合いだよ」
去って行くトールの後ろ姿を眺めながら、アデラは少し寂しそうに呟いた。
結局、トールはティナが何者か教えなかった。きっとティナには明かすことができない秘密があり、そんなティナをトールは守ろうとしているのだろう。