月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
 ティナもアウルムが一緒なので、この森も広いだけで、あまり危険ではないだろう、と思っていたのだ。

「……うぅ、返す言葉もございません……」

「まぁ、その聖獣のおかげで道に迷わずここまで来れたんじゃろうな。普通の人間だと方向感覚どころか思考も記憶も迷わされるでな」

 どうやら〈迷いの森〉という名前は、道に迷うという意味ではなく、感覚を狂わせる──迷わすという意味だったようだ。
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