月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
 それはすなわち、人々を救うための信仰が逆に人々を苦しめていることに他ならない。

(一体どういうことなのっ?! どうしてアコンニエミ聖国は精霊を否定するの……?!)

 精霊の話を聞けば聞くほどアコンニエミ聖国に対する疑念が強くなっていく。
 しかも知らなかったとはいえ、ティナ自身聖女としてラーシャルード教の布教を手伝って来た。それは間接的に精霊たちを苦しめて来たことに変わりないのだ。

「私は何をすればいいですか? 何でも言ってくださいっ!!」

 ティナは全身全霊をかけて精霊たちに協力しようと心に決める。
 それで自分の罪が許されるとは思わない。だけど精霊たちを救えるのなら、何を差し出しても構わないと心から思ったのだ。
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