月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
 精霊たちの喜ぶ声を聞いたティナがそちらに目を向けると、そこには淡い光を纏う小さな子供たちがいた。

「うわぁあああっ!! せ、精霊さんたちだよねっ?! すっごく可愛いっ!!」

 精霊たちには属性があるのか、三人が持つ色はそれぞれ緑色・黄色・橙色と違っていた。これなら見分けがつきそうだ。

《きゃー! 褒められたわ!》

《ホント? 可愛い?》

《うふふ! 嬉しい!》

 精霊たちはティナに褒められ、きゃっきゃと喜んでいる。
 ティナがそんな様子を微笑ましく見ていると、周りを飛んでいた小さい精霊たちの光が、”ぽぽぽんっ!”と音を立て、次々と弾けた。

「わっ?! な、何……っ?! ──あ……っ!」

 ティナが驚いている間にも、光はあちこちで弾けていく。
 そうして弾けた光の後には、人型へと変化した手のひらサイズの小さい精霊がいた。

「──っ!? う、うわぁあああっ!! すごい……っ!!」

 湖にいたすべての精霊が、まるで生まれ変わるかのように、次から次へと姿を変えていく。
 いつもティナと話す三人の精霊とは違い、輪郭はぼんやりとしているが、嬉しそうな表情をしているのがわかる。
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