月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「アンネマリー、よく話してくれたね」
弱々しく震えるアンネマリーを、フレードリクがそっと抱きしめる。
「諸君! アンネマリーが話してくれた通り、クリスティナは私を! そして王家も国民も騙していた悪女なのだ!! そんな女に聖女、ましてや王妃なんて地位を与えるわけにはいかない!!」
アンネマリーの話と、フレードリクの言葉に生徒たちは混乱する。しかし、アンネマリーが嘘を言っているとはとても思えない。それにもしこれが虚偽だったら、アンネマリーもアンネマリーの家門も無事ではすまないだろう。
そんな危険を冒してまで、クリスティナを貶める理由がアンネマリーにあるようにも思えない。
──アンネマリーは確固たる自信を以って、クリスティナを告発しているのだ。
「……まさかクリスティナ様が、本当に?」
「とてもじゃないけど、信じられないな」
「見間違いではないのか?」
それでも、長年聖女として国を守り続けてきたクリスティナを信望する者は多く、あちこちでアンネマリーの話を疑問に思う声がする。
『──チッ!!』
アンネマリーは小さく舌打ちする。
卑しい孤児で平民のクリスティナを慕う者が予想以上に多かったからだ。
弱々しく震えるアンネマリーを、フレードリクがそっと抱きしめる。
「諸君! アンネマリーが話してくれた通り、クリスティナは私を! そして王家も国民も騙していた悪女なのだ!! そんな女に聖女、ましてや王妃なんて地位を与えるわけにはいかない!!」
アンネマリーの話と、フレードリクの言葉に生徒たちは混乱する。しかし、アンネマリーが嘘を言っているとはとても思えない。それにもしこれが虚偽だったら、アンネマリーもアンネマリーの家門も無事ではすまないだろう。
そんな危険を冒してまで、クリスティナを貶める理由がアンネマリーにあるようにも思えない。
──アンネマリーは確固たる自信を以って、クリスティナを告発しているのだ。
「……まさかクリスティナ様が、本当に?」
「とてもじゃないけど、信じられないな」
「見間違いではないのか?」
それでも、長年聖女として国を守り続けてきたクリスティナを信望する者は多く、あちこちでアンネマリーの話を疑問に思う声がする。
『──チッ!!』
アンネマリーは小さく舌打ちする。
卑しい孤児で平民のクリスティナを慕う者が予想以上に多かったからだ。