辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 スマホに収められた昨日の写真を見ながら食べていると、テーブルの横に誰かが立った。彼かもしれないと笑顔で顔を上げたが、すぐにがっかりする。

 コウさんじゃなかった……。

 最悪なことに、彼に何度も声をかけていた女性だった。

「おひとり? 彼は一緒じゃないの?」

「……はい」

 なんとなくバカにしたような口調に、『はい』しか出てこない。

「本当は彼の恋人じゃないんでしょう? あのときだけ頼まれたんじゃないの?」

「え? いいえ。私はコウさんの彼女です」

 ドキッと心臓が跳ねたが、余裕を持った表情をつくって首を左右に振る。

「それなら今も一緒にいるはずじゃないの?」

「彼は仕事も兼ねて来ているので、部屋で仕事をしているんです。あ、見てください。昨晩はカンガルーに餌をあげたんです」

 女性に納得させるために、彼女が来るまで見ていたスマホの画面を出して、ツアースタッフが撮ってくれた私とコウさん、カンガルーの写真を見せた。

「恋人じゃなければグリーン島で終わらせるのではないでしょうか?」

 写真を見た彼女は悔しそうな顔になった。

「私の彼なんですから、声をかけるのはやめてください。迷惑です」

 そう言ったとき、背後から「由香(ゆか)?」と呼ばれた彼女は私を睨みつけて立ち去った。

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