辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 私みたいな小娘がコウさんの恋人なのが納得いかなかったのね。これであきらめてくれればいいけれど……。

 でもまたひとりで食事しているところを見られたら疑われそうだ。

 コウさんを捜した方がいいのかな。

 ううん。たしかにまた突っ込まれるのは敬遠したいが、それは言い訳で、私はコウさんを捜す理由づけにしているのだと気づいた。

 レセプションカウンターでは、コウさんの部屋を教えてくれないだろう。しかも名字は知らない。となれば歩き回って彼の姿を捜すしかない。

 食事後、この階のラウンジやカフェを覗き、ひとつ上のデッキにあるジムやプールへ赴いてコウさんの姿を捜したが見えなかった。

 部屋で仕事をしているのかもしれない。また夕方にしよう。

 自分の部屋のあるデッキに戻り、ランドリールームから洗濯乾燥済みの衣服を引き取った。

 いい匂いの洗濯物が入った袋を抱えてランドリールームを出たところで、「あっ!」と声が漏れる。

 数メートル先からコウさんがこちらへやって来るところだったのだ。スマホをいじってうつむいていたコウさんが、私の声で顔を上げた。

「和泉」

「コウさん、捜していたんです」

「俺もだ」

 彼はスマホをジーンズのうしろポケットにしまいながら、口もとを緩ませる。

「え? コウさんも……?」

 そう聞いて、内心うれしい気持ちになる。

「カフェに行こうか」

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