辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 ふたりの写真を見た瞬間、冷や水を浴びせられた感覚になった。

 私はクレストピアグループを助けるために、政略結婚をしなくてはならないのだ。

 この片想い……恋を、きっぱりあきらめなくては。

 彼にこの豪華客船に乗った経緯を話そう。そうしたら、私の心に歯止めがかかるに違いない。



 夜中にシドニーを出港し、クルーズ船はグアムに向かっている。グアムに二日間滞在したら帰国は目の前。

 家からはなにも連絡はない。逃げ場をつくれないように、父が私に電話をするのを禁止しているのかもしれない。

 そのおかげで父に対して背徳感はあるものの、このクルーズの旅を謳歌している。

 朝。今日のコウさんは夕方まで仕事があるので、それまで私はフィットネスジムで体を動かしたり、髪を結ぶシュシュ作りに参加したりと、彼と出会う前まで楽しんでいたことをした。

 今夜、彼に祖父母が一緒だと嘘をついていたことや、この旅に参加した目的を告白しようと決めたせいか、コウさんに会うのに緊張感に襲われている。

 もしも彼が気持ちを害したらどうしようとも思う。告白によって、帰国までもう一緒に行動することはないかもしれない。

 でもそれは自業自得だし、コウさんに抱く気持ちがどうしようもなく大きくなってしまわないうちに、ちゃんと話をして歯止めをかけた方がいいのだ。

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