恋の方程式。(短編)

好きの定義

【葵目線】
それぞれが自由行動を終えた後、合流して6人で着付けして街を歩くことになった。
自由行動の後から春翔と結衣の様子がおかしいと思いつつ、気のせいだと言い聞かせていた。

カランコロン
下駄の音が近づいてくる。
「葵」
「は、春翔…どしたの。」
「ちょっと2人でまわらない?田口たちには言っておいたから」
なんで?と思いつつも別におかしいことはなかったから春翔と一緒にまわることにした。

それから2人でりんご飴を食べたり、家族へのお土産を買ったり、いつもの「幼馴染」のように楽しくまわっていた。
少し足を休ませるために近くのベンチに2人で座る。

「葵」
「ん?」
「あのさ…俺…葵のことが好きだ。」
「…え?」
「だから、お前のことが好きって言ってんの。返事は?」
「ご、ごめん。」
断る気はなかったのに急な告白に驚いて反射的に断ってしまった。
しかも、結衣は春翔が好き。
私が春翔と付き合って良いわけがない。
「なんで?俺のこと嫌い?」
「き、嫌いなんて…‼︎そんなわけないよ!」
「じゃあなんで?」
「私に春翔は勿体なさすぎるよ!それに…」
「それに?」
「は、春翔には結衣がお似合いだよ…‼︎」
私は本心で言ったつもりだった。
「それ、本気で言ってんの?」
春翔の声が低くなったのが分かった。
「俺の気持ちは無視かよ。」
そう言って歩いて行ってしまった。
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