おじさんフラグが二本立ちました
目を覚ますとベッドに寝かされていた
「みよちゃん。気づいたっ
先生っみよちゃん目を覚ましました」
どうやら医務室に運ばれたらしい
加寿ちゃんとチャラ男
名札をぶら下げた大学関係者がベッドサイドに立っている
・・・先生?
「あ、気がついたね。みよちゃん」
院長の登場に驚いていると
「あのね・・・」
緊急事態に、来賓として記念式典に出席していた院長が呼ばれたと説明してくれた
チャラ男は厳重注意で帰され
加寿ちゃんは発表会に出席を促されて渋々出て行った
「みよちゃん。ここじゃ検査出来ないから
うちの病院に連れて行くね」
「うん」
「俺、心臓が止まった気がした」
「大袈裟」
「生徒が倒れたって聞いて駆けつけたら
みよちゃんが此処に寝かされててさ」
「・・・そういうことね」
「藤原が原因か」
「それもある」
「それも?」
「今日は朝からフラフラしてたから」
「そっか、じゃあ無理してたんだね
このまま連れて行くけど荷物は教室?」
「今日は手ぶらだから大丈夫」
「了解、身軽で良かったね」
頭を撫でてくれる院長は穏やかで
その居心地の良さにまた肩の力が抜けた
「ゆっくり起きあがろうか」
「うん」
ジワリと身体を起こしてベッドから下りようとしたのに
床に着けた足に力が入らず、そのまま崩れ落ちた
間一髪、院長の支えで抱き留められたけれど
「我慢してね」
姫抱っこは確定になった
数日振りの柴崎総合病院は
相変わらず混んでいて
夜間入り口から入った院長は
真っ直ぐ院長室へと向かった
「此処の方がみよちゃんが気が楽かと思って」
「・・・ありがとう、先生」
「・・・ん、今は先生モードだから許すけど
やっぱりみよちゃんには名前で呼ばれたいな」
「フフ」
「え、なにか可笑しなこと言った?」
「進さん、可愛い」
「・・・は?、俺、生まれて初めてだけど“可愛い”なんて言われたの」
「嘘ばっかり、進さんは顔も可愛い系だもん」
「男からすれば嬉しくない系だな」
「モテる男は辛いって言ってみて」
「だから、みよちゃんにモテなきゃ意味がないんだって」
「フフフ」
くだらないやり取りに気持ちが落ち着いてきて
院長は癒やし系なんだとも思った
「先ずは胸の音からね」
ウォーターベッドに寝たまま
少しボタンを外した