ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 これまで、そんな不安や怖れをつねに抱いていた。それらは、つねに心の片隅に巣食っていていつでも心全体に広がろうとしていた。無意識の内に、それに気付かないふりをするか広がらないようにしていた。

 だけど、いまは違う。

 それらが膨れ上がり、いまにも破裂してしまいそう。

 思わず、声がもれていた。いいえ。嗚咽だったのかもしれない。

 そのとき、ラインハルトが振り返った。
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