巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
「申し訳ありません、私はソリヤの街にある神殿で巫女見習いをしているサラと申します」
ここで不用意な言葉を口にしないように注意しながら自己紹介をする。
「……何? ソリヤだと……?」
ソリヤの名前を出した途端、ツルッとした人の言葉が止まる。しかし、その代わりにツルッとした人の表情が段々険しくなってきた。
でも私は今のこの機会を逃すわけにはいかない……!
「はいっ! 今、孤児院の運営が凄く厳しくて、このままでは子供達は冬を越せません! ですので、神殿本部に援助いただきたくてお願いに来ました!」
ツルッとした人が言葉を発する前に、言いたいことを一気に言わせて貰う。この人に言っても仕方がないかもしれないけれど、誰かを紹介してくれる可能性が──……
「知らん知らん! ワシには関係ないことだ! そんなことよりここは神聖なる場所であって、巫女見習い風情が立ち入って良い場所ではない! 一刻も早く立ち去れ!」
──なんて思うまでもなく、私の言葉は全否定されてしまう。
(この人神殿関係者だよね!? 聖職者とあろう者が、孤児院の危機なのに自分には関係ないって……どういう事!?)