巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
子供達のことや神殿のこともある。巫女見習いとは言え、私はあの神殿の責任者なのだ。それを放置するなんて私には出来ない。
「えーっと、どうしたら戻れるんだろう」
私は人がいないか探しながら庭園を歩く。木々が生い茂った場所を抜けると、澄んだ青空が広がっていて、その下には太陽の光を浴びて輝く神殿が建っていた。
「誰だ!! そこで何をしている!?」
「ひえっ!?」
神殿の美しさに見とれていると、突然背後から大声で叫ばれてびっくりする。
慌てて声がした方へ向くと、ツルッとした頭によく脂が乗った身体をした中年の男の人が、付き人らしき人達を従えて立っていた。
「えっと……」
「今は王太子殿下をお迎えする為に外部の人間は立入禁止にしている筈だ!? 一体何処から入って来た!?」
怪しい者じゃないと言いたかったけど、ツルッとした人が矢継ぎ早に喋るので説明する余地がない。
(今王太子って言った……ってことは夢じゃない!? なら、ここは現実!)
ツルッとした人は見たところ高位の役職に就いているっぽい。なら、どうにかして私の話を聞いて貰えないかと考える。