巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
お頭が私の顎を掴み、ぐいっと見えやすいように持ち上げるけれど、姿勢が辛かった私の口から「ぐぇっ」とカエルのような声が漏れる。
「……へえ。さっきはよく顔が見れなかったが、これは上玉だな」
私のカエルのような声に引くかと思ったけれど、お頭は構わずに私の顔を舐め回すように見ている。その品定めするような目に不快感が高まっていく。
(くそー! 手でも噛んでやりたいけど、子供達がいるし……!)
私が反抗したらきっと子供達を盾にするだろうと思うと、ロクに抵抗も出来ない。
「お頭もそう思います? この娘は『ソリヤの聖女』と呼ばれるほどの人気がありますからね、聖属性は無くてもかなりの高額で売れると思いますが……」
子分その一が揉み手をしながら伺うようにお頭に進言する。やっぱり私は「ソリヤの聖女」って呼ばれていたのか……全く知らなかったよ……。聖女だなんて恐れ多いなぁ。
「──いや、契約は契約だ。この娘は依頼人に引き渡す」
お頭がちゃんと契約は守ると言うと、盗賊達は凄くがっかりしたようだった。
「お頭がそう言うのなら仕方ねぇか」
「あーあ。勿体ねぇなぁ」