巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
盗賊達は名残惜しそうに私を見ていたけれど、渋々とお頭の決断に従うようだった。
私はこの状況を打開できそうなきっかけが無いかと思い、お頭に話しかける事にする。
「私達を誘拐しても、孤児院に誰もいなくなったら異変に気づいた街の人達が街の憲兵団に知らせてくれるよ。余所者のあなた達はすぐ見つかるよ」
以前、婦人会のクラリッサさんが言っていた話を思い出す。最近街に余所者が増えたって彼女は言っていたから、この盗賊達も街の人達に見られていると思う。
「残念だったな。俺達は誰にも知られないままこの街を出られるんだよ。それにいなくなるのは子供達だけだ。聖女様はこの街に残るからな。どうとでも言い訳はあるさ」
私はお頭の言葉に驚いた。子供達だけ拐う……? それで私だけ街に残る? 一体どういう事だろう。街に残った私が子供達の事を黙っているはず無いのに。
私が疑問に思っていると、部屋の扉をガンガンと叩き、慌てた様子の人物が入って来た。その人物は私を見付けると驚いた声を上げる。
「──サラッ!!」
私が拐われて連れ込まれた部屋に、息を切らしたテオが駆け込んで来た。