巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
17 理由
「──サラッ!!」
「テオ!? どうして──!?」
盗賊に拐われて拉致されている私の元へ、テオが慌てて駆け込んできた。
(もしかして私がいない事に気づいて探しに来てくれた……?)
テオが孤児院の異変に気付いてくれたのなら、きっと街の憲兵団にも連絡を入れてくれるはずだと考えた私はほっと胸を撫で下ろす。
(今までテオに冷たくしちゃって悪かったな……。これからはもうちょっとだけ優しく接しよう)
それに盗賊達のアジトまで危険を承知で来たくれたのだ。エルにはテオに近づくなと言われていたけれど、恩人にはそれなりに敬意を表さねば! と思っていた私の思考はテオの言葉によって霧散する。
「おいおい、何だよこの状態は!! サラは丁寧に扱えって言っただろ!!」
「──え……?」
(まさか、テオが誘拐の依頼人……? でもどうして子供達まで……)
テオの剣幕に子分達はお互いを見渡し、「でもなぁ……」「そう言われてもな……」とお互い小声で文句を言っている。
そしてお頭の方はそんなテオを見て「……はあ」とため息をついている。