巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
19 顕現
「……っ!? 結界が侵食されて行く……っ!? くそっ!! 駄目だ、持たん!!」
結界を維持しようとして魔力を注ぎこんでいたお頭だったけれど、エルの結界への侵食の方が速かったらしく、部屋にピッタリと張られていた結界全体にヒビが入ったかと思うと、結界だったモノが木っ端微塵に砕け、光の粒子となって消えていった。
「お頭の結界が破られるなんて!!」
「まさか!? 冗談だろっ!?」
「お頭は上級魔法師だぞ!? そんなバカな事があるかよ!!」
「おいおいおいおい!! こんなヤバい奴がいるなんて聞いてねぇぞ!!」
お頭の張った結界が消失したのを察した子分達が慌てふためいている。お頭の腕前は余程信頼されていたのだろう、子分達全員が信じられないという表情をしている。
「一体何者だ!? 出て来い!!」
お頭が天に向かって叫んだ時に見えたその瞳には好戦的な色が滲んでいた。自分の結界を破った者をひと目見てみたいのか……もしくは戦ってみたいのかもしれない。