巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
エリーさんの話でも入り口は塞がっていなかったらしいから、エルが閉じ込められてた神殿は別の神殿だったのだと理解する。
(でも、そうなるとエルがいた神殿ってどこだろう?)
頭の中で色々推理していた私を見た司祭は、本当に私が「紅眼の悪魔」を知らないのかもしれないと思い始めたようだ。
「我々は奴の同行をずっと探っていたのだが、ある時から奴がお前の孤児院を支援し始めたと報告を受けた。それはお前も自覚しているな?」
「……はい」
エルの事を探っていたのはきっと福音聖省が管轄する暗部だろう。<使徒>は戦闘部隊だから、異形の者を見つけたら即殲滅だ。調査なんてのんびりする訳がない。
「奴がなぜ孤児院に便宜を図るのか理由が分からん……それも辺境の小さな街の孤児院に、だ。しかもお前や孤児達を盗賊から助けるために本人自ら動いたらしいではないか。奴とお前はどういう関係だ? どこで知り合った? まさかとは思うが、恋仲ではないだろうな?」
「こ……恋仲!? ち、違います! そんなんじゃありません……!」