巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
毎日祈りを捧げ、正しい行為を成して子供達の面倒を見て……そうして司祭様が隠居されてから、ずっと一生懸命やってきたつもりだったけれど、まだまだ私の努力が足りないのだろうか。
巫女見習いにあるまじき事を考えてしまったけれど、今の私にはこれ以上、至上神──アルムストレイム教に於ける唯一無二の絶対神──に、祈りを捧げる気にはなれなかった。
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神殿本部から追い出された私は、ダメ元で行ってみた商業ギルドで、王都まで同行させてくれた商隊の警護をしていた人とバッタリ再会し、その人からソリヤの街へ向かう商隊を紹介して貰う事が出来た。
ソリヤの街でなくても方向が一緒なら近くの街まででも良かった私は、ほっと胸をなでおろす。
商隊の人たちに挨拶をして軽く打ち合わせをすると、早々に出発するということで、私は荷馬車の荷台に乗せて貰うことになった。
(道の途中までしか同行出来ないかもと思っていたけれど、ソリヤの街に向かう商隊がこんなに早く見付かるなんて凄くラッキー!)
こんな時はいつもなら神様に感謝していたけれど、やはり今はそんな事を思う気になれず……。