巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
(何だかこのままだと信仰心が無くなってしまいそう……)
一瞬、巫女見習いなんて辞めてしまったらどうだろう……と考えたものの、子供達の顔を思い浮かべてしまい、その考えを頭から振り払う。
(駄目だ駄目だ! あの子達を放り出すなんて出来ない……!)
──きっと、どう足掻いても、私が子供達を見放すことなんて出来やしないのだ。
ぼんやりとそんな事を考えながら商隊の荷馬車に揺られていると、顔に何かが降ってきた。
「……あ、雨だ」
私がそう呟いた後、一斉に雨が降ってきた。商隊の人達も突然の雨に驚いたようで、どこか雨宿りできるところがないかと右往左往している。
(大木もしくは洞窟があればいいけれど……)
広い森の中で、商隊がまるまる入れるような場所なんてそうそう無いよね……と思っていたら、ふと岩山が視界の端に入った。
「あそこの岩下で雨宿り出来るかも!」
私は商隊の人達に声をかけ、皆んなを大きな岩が突き出したような場所まで誘導する。
岩の近くまで来ると、そこは人工的に作られた場所だということが分かった。