巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

(法国でも闇属性って判明した人間は暗部に放り込まれるってお爺ちゃんが言っていたもんね。エルの様子からして、随分貶められていたんじゃないかなぁ……)


 本当にあの法国は変な固定観念を持っているから面倒くさい。時代は変化していくんだから、いつまでも古い因習にしがみつかなくてもいいのにね。


「貴女は、闇属性が怖くないんですか? この属性は精神に干渉出来るんですよ? 気付かない内に操られている可能性だってあるんです。だから闇属性は恐ろしいものだと昔から言われているのに──!」


 私を拐った盗賊のお頭も闇魔法の使い手で精神に干渉しようとしていたもんね。随分手慣れていたし、アレは確かに怖かった。今までかなりの人間をそうして操っていたのかもしれない。

 そしてやはり私の予想通り、エルは闇属性を持っていたために周りから恐れられる存在だったのだろう──そう思った時、ふと以前聞いた言葉を思い出す。


『王太子殿下と言えば、宮中の人間から恐れられてるって噂らしいけど、そんなに怖い方なのかねぇ』


 ──それは王都に行った帰り道、あの廃神殿で野宿した時に商隊の人達が交わしていた会話の一部で。
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