巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

「そんな司祭様が言うんだし、実際わたしも目の当たりにしたけれど……何度でも言うよ。闇属性は怖くない。それは神様から与えられた贈り物なんだよ。だからエルが傷つく必要は無いんだよ」


 ──だから自信を持って。貴方はちゃんと神に愛されている。


 私が何度もしつこく励ましたからか、エルはまるで「困ったなぁ」とでも言いたそうな、そんな苦笑いを浮かべている。

 だけど、さっきまでの思いつめたような表情より、だいぶ明るさが戻った表情に、嬉しくなった私は自然と笑顔になる。


「──全く……貴女には敵いませんね」


 私の笑顔を見たエルがやれやれと言いたげに苦笑いを浮かべるけれど、その笑顔は先程の儚い笑顔ではなく、まるで憑き物が落ちたようにスッキリとした、彼の本当の笑顔だった。
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