巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

(綺麗な人だっていうのは覚えてるんだけどなあ……勿体ないことをしちゃったな)


 夢で見た綺麗な人を想像しようにも、想像力が貧困な私にはきっと無理だろう。


 まだ頭はふわふわしているけれど、取り敢えず朝の準備をしようと思い身体を起こす。

 商隊の人達はまだ眠っているようなので、起こさないように神殿跡から外に出てみることにした。


 雨がやんだ空は澄んだ朝焼け色で、今日の天気はとても良さそうだと予想する。
 昨日は雨が降っていたし、薄暗かったから気付かなかったけれど、入り口の周りには色とりどりの可愛い花が沢山咲いていた。


「わあ……! ここってこんな綺麗な場所だったんだ」


 どんな神様を祀っているか分からないけれど、私は神殿の祭壇に花を飾ってあげようと数本の花を束ねる。

 そして神殿内に戻り、祭壇に花を添えようとして、ふと思い付く。


(あ、ついでに軽く掃除しておこうっと)


 職業柄、祭壇の汚れが気になった私はいつものように掃除を始める。

 降り積もった埃を払い、商隊の荷物にある掃除道具を借りて、祭壇周りを掃き清めていく。
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