巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
* * * * * *
暗い空間の中で、私は一人佇んでいた。
周りには誰にもいなくて、私は一人ぼっちだった。
一人はとても寂しくて、誰かいないかと探し回ったけれど、
いくら探し続けても私は一人ぼっちのままだった。
誰かに側にいて欲しくて、一人は嫌だと泣きかけた時、
キラキラ輝くものが現れた。
それは金色に光っていて、とても綺麗だった。
私が恐る恐る近づくと、その光は人の形に変化した。
金色の光は輝く髪となり、金色の髪の下からは
とても綺麗な顔が覗いている。
そして、閉じていた目が開くと……
そこには、紅玉のような、宝石みたいな美しい瞳があった。
──なんて綺麗な色なんだろう。
澄んだ紅い色の瞳に、魂が引き込まれそうになった時、意識が急激に引っ張られるような感覚がして目が覚めた。
「────あれ?」
目を開けて見えたのは白い天井で、ああ、そう言えば神殿跡で野宿したんだっけ……と、昨日の出来事を思い出す。
(何だか変な夢を見たような……えっと、何だっけ……? あ、そうそう! 凄くきれいな目をした人の夢だ……)
だけどあまりにも鮮烈な金色の髪と紅い瞳に気を取られてしまったからか、夢の人の顔が全く思い出せない。