巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 シスと名乗った貴賓室の要人は、白い長い髪を一つに纏めており、切長な紫色の瞳をした美丈夫で、さぞかしモテるであろう容貌をしていた。

 サラが「お爺ちゃん」と呼んでいたので、てっきり高齢の老人だと思っていたが、予想より遥かに若々しい。


「私はヴィクトルと申します。あの、シス様は一体……?」


「俺の話は後だ。悪いが俺はサラの所へ行かせて貰う」


 シスの言葉に、ヴィクトルは「は、はい!」と返事をし、慌てて貴賓室の扉を開ける。


 本来の計画ではシスに身を潜めて貰う予定だったのに、肝心の本人はサラのもとへ向かうと言う。そうなれば計画が狂ってしまうのだが、ヴィクトルはシスの言う通りに従うことにした。

 何故なら、このタイプは言い出したら聞かないのだと、今までの経験でよく理解しているからだ。


「おおーっ! 一年ぶりの外だー!」


 結界から出た途端、シスが喜びの声を上げる。


 まだ屋内ではあるが、ずっと貴賓室に閉じ込められていたシスは、解放感を味わうかの様に伸びをすると、首をコキコキと回す。


 そして「よしっ! 行くか!」と言ったかと思うと、いきなり廊下の窓から飛び降りた。
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