巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
(どういう事だ!? 俺は油断していないし、身体も鈍っていないのに!!)
ヴィクトルが王太子の側近として選ばれた理由の一つに、王国でも上位の強さを持っていたというのがある。
だが、この人物は自分と比べ物にならない程の実力者だと──まるで次元が違う、とヴィクトルは瞬時に理解する。
「君が大人しくしてくれるのなら危害を加えるつもりはない。『鍵』さえ渡してくれればすぐに此処から立ち去ろう」
「待って下さい! 私は貴方の味方です! サラを助けるために此処へ来ました!」
「何……っ!?」
背後の人物が驚いた隙に、ヴィクトルは自分の目的とサラが連れて来られた事を説明する。
「……と言う訳で、サラを無事に王太子殿下の元に連れて行かなければならないのです」
王太子の為にも、サラが叙階を受け入れるのを阻止する必要があるのだ。
「……ったく、トルスティの野郎……!」
ヴィクトルは背後で呟かれた言葉に驚いた。大司祭の名を吐き捨てるように呼び捨てるこの人物は一体何者なのか……?
「──悪かったな。俺の事はシスと呼んでくれ。知っての通りサラの育ての親だ」