巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
大司教の様子からして、お爺ちゃんはかなり高い身分だったのだろう。そんな身分をあっさりと捨てたお爺ちゃんの言葉には妙な説得力があった。
「俺の昔の知り合いも身分差だの禁断の愛だので散々悩んでいたけど、お相手もそいつの事が好きだったらしくてな。色々あったが結局、お互い身分を捨てて駆け落ちしたんだよ。そん時はマジで驚いたわ」
お爺ちゃんが昔を懐かしむように、遠い目をしながら話してくれた。
「駆け落ち……!? それで? その二人はどうなったの!?」
「そいつらはそりゃあもう甘々でな。俺が砂糖を吐きそうになるぐらい深く愛し合っていたんだが、二人とも運悪く神去ってしまってな……。それでも生きている間はすごく幸せそうだったぞ」
お爺ちゃんはそう言うと、ひどく優しい、懐かしそうな目で私を見る。
だけどその目は、まるで「お前はどうなんだ?」と私に問いかけるようだった。
確かに愛し合っていれば身分なんて関係ないだろうけど、でもそれは両思いの場合だと思う。片思いの私とは状況が違うよね。
(……でも駆け落ちしても二人は幸せだったんだ……良かった……)