巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

「すまないが見ての通り、今は緊急事態だ。用があるなら後日改めて──「いいえ、その必要はありません」……何……?」


 王太子の言葉を遮るとは、一介の司教のくせに生意気な!と思った私同様、腹を立てたらしいヴィクトルさんが、剣の柄に手を掛けたのが視界の端に映る。


「巫女見習いの娘と一緒とは、本当に都合がいい……ふふふ……」


 この場から逃げ出そうとする人々が多い中、バザロフ司教は周りを気にすること無く余裕の態度で笑顔を浮かべている。その異様な雰囲気に、得体のしれない恐怖が全身を駆け巡る。


「確かお前は神殿本部にいた司教だな? こんなところで何をしている?」


 私の恐怖を感じ取ったのか、エルがバザロフ司教の視線から遮るように、間に入ってくれた。


「いやいや、貴方達がシュルヴェステル様を連れ去ってからというもの、神殿本部は大騒ぎでしてねぇ。苦情や抗議の声が跡を絶ちませんし、トルスティ大司教は本国に戻ったっきり帰られませんし、本当に困っているのですよ……」
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