巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 彼の役に立ちたい、彼の隣に立てるような、そんな人間になりたい──それが、私が持つたった一つの望みとなった。


 だけど、そんな私が追いつく間もなく、彼はどんどん頭角を現していく。必死に追いつこうと喰らいつき、あともうすぐ、というところまで来たその時。


 彼は突然団長を辞して、姿を眩ませてしまったのだ──私を置いて。


 彼と何かを約束したわけでもない、私の一方的な想いだったけれど、それでも裏切られたと思うのは仕方がないのかもしれない。


 そうして、何時までも彼を追い求める私を神が哀れに思ったのか、十五年の歳月を経て、ようやく私は彼と再会を果たすことが出来た。


 行方をくらます前と変わらない姿の彼を目にし、思わず心臓が高鳴ってしまう。


 ──ああ、やはり彼が、彼だけが私の心を動かすのだ──!





 そうして、彼の心は少しずつ歪んでいった。お爺ちゃんへの憧憬にも似た、思慕の念の強さ故に。


 私は彼──トルスティ大司教の過去を垣間見たのだろう。
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