巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
59 聖女
私が目を覚ますと、見覚えがある天井が見えた。
何となく顔に違和感があったので、震える指でそっと頬を触ってみると、涙で濡れている感触があった。
(そう言えば変な夢を見たんだっけ……? 何だか寂しい光景だったなぁ……)
あの夢の中は寂しくて孤独でとても寒く感じたので、ポカポカしていて温かいこのベットの中はとても心地良い。
いつも寝ているベットも気持ち良いけれど、今寝ているベットからはとても良い匂いがして、ここから出たく無いな、と思う。
(なんだかエルに抱きしめられているみたいで安心する……)
……と、思ったところで、はたと気が付いた。
(あれっ?! ここってエルのベットじゃ……?!)
私、また何かやらかしちゃった?! と思い、慌てて起きあがろうとしたけれど、腕に力が入らずベットにへたりと倒れ込んでしまう。
「な、な……で……」
思わず出た声も凄く掠れていて、自分の声じゃないみたいだ。
何が何だか分からず混乱していると、部屋に入ってきた可愛い使用人さんと目が合った。
「?!」