巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 エリーさんの商隊が王都の貴族と商談している時、雑談の中で私の話題が出たらしく、私が離宮にいると知ったエリーさんがその貴族に取り次いで貰い、私に連絡をくれたのだ。


「その節は大変お世話になりました」


「とんでもない。短かったけど、サラちゃんと一緒にいた時間は楽しかったわ。あの廃神殿も懐かしいわね」


(廃神殿かぁ……。あの頃はエルのことを廃神殿に祀られてた悪魔だと思いこんでたんだよね)


 ホント人の思い込みって恐ろしい。エルを悪魔だと勘違いしていたことは、私にとって黒歴史となっている。


「そう言えばあの廃神殿、縁結びの神様を祀っているって言ったでしょう? 伝承によると将来結ばれる人を夢で教えてくれるんですって。素敵ね」


「えっ……」


 黒歴史に内心悶ていた私はエリーさんの言葉を聞いて、あの時見た夢を思い出す。


 ──魂が引き込まれそうになるほどに澄んだ、紅い色の瞳と、キラキラと煌く金色の髪の──……


 私が夢を思い出した瞬間、部屋のドアがノックされ、夢に見た人と同じ色を持つ、最愛の人が現れた。


「──エル……!」


 ──優しく微笑む綺麗な紅玉の瞳が、夢の記憶と重なって一つになる。

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