巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

「贈り物? 勿論購入していますよ? まあ、僕が品を決めていますけどね」


 エルに質問しようと思っていたその日の夜に本人がやって来たので、私の疑問は早々に解けた。


「でも、エルが店で買い物している姿が想像できないんだけれど……」


 黒尽くめの美形がバターや砂糖を大量に買い求めに来たら、お店の人が驚きそう。


「買い物は僕の部下にお願いしていますよ。僕が直接買いに行く訳にはいきませんので」


(悪魔の部下……使い魔か何かだろうか?)


「じゃあ、もしかして毎日贈り物を届けてくれているのも……」


「僕の部下ですね。子供達には気付かれないようにお願いしているんですよ」


「なーんだ。エル自身が届けている訳じゃなかったんだ。来たのなら顔を見せていけばいいのにって思ってたよ」


 思っていた事をそのまま伝えただけだったけれど、私の言葉にエルの綺麗な紅玉の瞳が瞬いた。なんだか不思議そうな顔をしているけど。


「? どうしたの?」


「……いえ、その、貴女は僕を恐ろしい奴だと思っているのだとばかり……それなのに、会いに行っても良いなんて仰るので……。つい、驚いてしまって」


 エルは顔半分を手で覆ってそう呟いた。何となく顔が赤い気がする。もしかして照れているのかな?
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