巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 ……まあ、エルからしたらそりゃそうだよね。聖職者が悪魔に会うことに抵抗ないなんておかしいよね。


「自分でも不思議なんだけど、エルの事全然怖くないんだよね。生活用品を贈ってくれるからかな? それって凄く人間臭いよね……って、あ! それ良い意味だから!」


 悪魔に人間臭いだなんて言ったら失礼な事かもしれないので慌てて言い訳する。侮辱されたと言ってキレられたらたまったもんじゃないし。


「ふふっ、そんな事を言われたのは初めてです。誰しも僕を怖がっていると思っていたので」


 エルが嬉しそうに、柔らかく微笑んだ。その顔はとても綺麗で、見たもの全てを虜にしてしまいそうだ。


「みんなの前でそんな風に笑ったらきっとイチコロだと思うけどな。普段あまり笑わないんじゃない?」


 ここにいる時のエルはよく笑っているように思うけれど、もしエルが無表情だったらと想像して……うん、冷たい美貌の悪魔になるわ。そりゃ怖いかも。


「……ああ、そう言えばそうですね。普段は舐められないように気を張っているのかもしれません」
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