巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
12 領主
街の市場で食材を購入していたら、テオとばったり出くわしてしまった。お茶を誘われたけれど、断ったにも関わらずしつこくて、挙句の果てに腕を掴まれてしまう。
「ちょっと! 離してよ!」
「ほらほら、行こうぜ! 俺とゆっくり過ごしたいんだろう?」
この人の話を聞かない性格をどうにか出来ないものか。いや、それ以前に私断ってるよね!
「いや、私テオとゆっくり過ごしたいなんて言ってないから! 話を捏造しないで!」
「……んん? そうだっけ? まあ、良いじゃん! ほら、行くぞ」
(いやいや! 良くない良くない! って、腕を引っ張るなー!)
「テオ様、サラが嫌がってます。手を離してあげて下さい」
「そうそう、無理強いは良くないっすよ!」
「しつこい男は嫌われるって常識ですぜ?」
私とテオのやり取りを見ていた市場の人達がザワザワと騒ぎ出す。流石に鈍いテオも、周りからの批判的な言葉や視線にたじろいでいる。
「な、なんだよ! 俺はサラを誘っただけじゃねーか!」
「だから無理だって言ってるじゃない! 子供達が待ってるんだから!!」