無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「あと先輩は鈍感すぎ」
「えっ?」
「俺こんなに分かりやすくアピールしてるのに」
疾風くんはそう言って私の顔を覗き込む。綺麗な顔が、すぐ近くまで迫っていた。
嘘だ。そんなわけない。勘違いするな自分。
そう思い込ませながらも自分の顔が赤くなっていくのを感じる。
「先輩顔赤いですけど」
「…お酒のせい」
「先輩、もう分かるでしょ?俺が言いたいこと」
そう言われても自分からあんなこと聞けるわけなくて黙る。
でも心の中で答えは出ていた。もし告白されたとしても、私には柊さんしか無理なんだ。
「結構本気で好きです。先輩のこと」
「ごめ…」
「今断って、ほんとに後悔しない?俺はいくらでも待つし先輩だって…」
「ごめん。私、好きな人がいるの。付き合えても付き合えなくても…私にはその人じゃなきゃだめなんだ」
疾風くんの言葉を押し切って私は言った。
今物凄く残酷なことを言っているのかもしれない。
私なんかを好きになってくれる人、疾風くんくらいしかいないのかもしれない。
もしそうだとしても私は柊さんのことを忘れられないと思う。