無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「すごいね、私なんて日和のことでもそんなこと覚えてないよ~」
「僕もそんなに記憶力がいいわけじゃないよ。斎藤さんは…よく目に入るけど」
「え、そんなに私うるさい…?ごめん確かに日和と話してる時は…」
「あ、違くて。えと…僕が自分で斎藤さんのこと目で追ってるから、だと思う」
…え?
不覚にも心臓が鳴った、気がした。
もしかしたら、なんて自意識過剰なのかもしれない。
だけどあの山本くんがここまではっきり言ってくるなんて初めてだったから。
「意味、伝わったかな…」
「え、と…」
頭が混乱して上手く言葉が出てこない。
こういう時、なんて言ったら…。
私が戸惑っていると山本くんは言った。
「斎藤さん…はさ。彼氏さんとか、いるの?」
「えっ…」