LIBERTEーー君に
7章 共に奏でる……
詩月はカノンを弾き終え、脱落するようにピアノに俯せた。

詩月の肩が忙しく上下していた。

「ちょっと詩月、詩月」

ビアンカはそっと抱え起こしながら、「マスター、お水を」と叫んだ。

ミヒャエルが詩月の脇を抱えて立たせ、詩月の腕を肩に回し支えた。

「おい、大丈夫か。しっかりしろ」

「……ピアノがまとも……だと……余計な神経使……わないな……演奏に……集中で……きる……」

詩月は息を切らし、ぜいぜいと喉を鳴らしている。

「詩月、お水。大丈夫、えっとーー」

「そこのソファー開けて。詩月、座らせるから」

「ビアンカ、薬はシャツのポケットだ」

詩月は慌てる面々を知ってか知らずか、ぐったりしてソファーに身を委ねた。

ビアンカが詩月の口に、水をゆっくり流しこんだ。

「ほら、」

「緒方……大丈夫……しばらくじっと……してれば」

「ぜいぜいしながら、何言ってんの」
< 64 / 258 >

この作品をシェア

pagetop