LIBERTEーー君に
9章 利用できるモノは
「詩月。生配信、アクセス数ヤバいよ」

数日後、ビアンカがBALでスマホを見せながら言った。

「詩月の弾き語り、評判いいよ」

「狙って歌ったわけではないから、別にどうでもいいんだけど」

詩月の返事は素っ気ない。

「学校の合唱も、いつもピアノ伴奏だったんだ。歌は苦手だし、自信もないし」

詩月はアクセス数を見ようともしない。

「ケルントナー通りの演奏も、他の演奏も観ている奴らが勝手に撮影した動画だし」

「うわッ、これだけバズってるのに」

「配信したいなら、自由にしていい」

「いいの?」

「撮られて減るものではないし、自分の演奏を客観的に聴くのも勉強になるから」

「NGはないんだね」

「とくにない」

「アイドルとコラボしてたって、信じられないよ」

「繕っても仕方ない、続かないだろ」

真顔で言う詩月に、ビアンカは呆れ顔だ。

ポカンと口を開けたまま、固まってしまった。
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