LIBERTEーー君に
「つい数ヶ月前まで、あんなに気落ちして憔悴していたのに」

「解らなくはないよ。でも闇雲ではないのは確かだ。エリザベートで詩月が課題曲申請した中に、ブラームスもチャイコフスキーもバッハも含まれている」

「そうなの?」

「詩月は計算づくで行動しているようだ。伴奏の件は詩月自身で既に、エィリッヒにも協力を頼んでいるようだ」

「心配なのは、ウィルスの方もだわ。感染しないか毎日、冷や冷やしているの」

「だからと言って、家に閉じこめて外出するなとは言えないだろ」

「それはそうだけれど、詩月が感染したらと思うと恐いの。心臓病や肺の病気、呼吸器や循環器の病気を持っている人たちが感染して、たくさん亡くなっているのは、知っているでしょう。彼、心臓病なのよ」

「マルグリット、詩月はじゅうぶん用心している」

「ペースメーカーを入れているし、体力も」

マルグリットは半泣きになっていた。
< 99 / 258 >

この作品をシェア

pagetop