幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
愛され妻になりたい
妊娠が発覚し、直ぐにお互いの両親と兄達夫婦に報告した。瑛ちゃんの職場には安定期に入ってから報告するつもりだ。つまり、病院内で知っているのはお義父さんと二宮先生、望月先生だけ。

一人で自宅に居るとマタニティブルーになってしまう日もある為、日数は少ないが小花衣2号店でお店の手伝いをしている。

「陽菜乃さんが入れてくれたお茶に小花衣司の和菓子は良く合うわね。ほら、千紗子さんも頂きなさい」

「はい、お義母様。それでは、遠慮なく頂きます」

瑛ちゃんのマンションに引っ越しをしてからと言うもの、兄の和菓子屋を手伝わない日には、お客様がいらっしゃる。瑛ちゃんの祖母とお母様、おまけに私の母まで揃っている。今日は兄の和菓子の新作の評論会を名目に集まっている。

「あんなに小さくて可愛かった陽菜乃ちゃんが、瑛大のお嫁さんになるなんてね」

お祖母様がお茶の湯呑みを手の内に収めながら、しみじみと物思いにふけながら語る。

「陽菜乃との結婚を認めて下さり、大変嬉しく思います。和菓子にお茶会は付き物ですから、茶道と華道、着付け教室と色々と習わせておいて良かったですわ。至らぬ点も多々ありますが、今後は瑛ちゃんの妻としてサポートして行けるように料理教室などにも通わせる予定で居ますわ」

この会話のやり取りを何度も続けているが、よくも飽きないものだなと関心する。

「……あら、やだ。次期、院長を捕まえて昔のように瑛ちゃんなどと気軽に呼んでしまって申し訳ないわ」

「まぁ、お気になさらないで。昔の様に"瑛ちゃん"って呼んであげて下さる? その方が瑛大も喜びますわ。これからは親族になるんですもの、今まで以上に仲良くしましょうね」

母と瑛ちゃんのお祖母様との会話をにこやかに笑いながら聞いている。

お義母様は有名な大学病院の教授の娘で、お義父様とはお見合い結婚らしい。そんな間柄の結婚に対し、瑛ちゃんは和菓子屋の娘なんかで本当に良かったのかなぁ?
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